状況
Aさん、Bさん(ご夫婦)からのご相談でした。Aさん、Bさんご夫婦には子供さんが2人(長男、2男)おられましたが、後継者として考えていたご長男がAさん、Bさんご夫婦より先にお亡くなりになりました。
ご長男には子供さんが3名おられます。仮にAさんがお亡くなりになったと仮定すると、奥様であるBさん、2男のCさん、ご長男の子供さん(3名)に相続権が承継されます。
Aさんは賃貸マンションを所有されており、このマンション建築にあたり多額のローンを組まれていました。
生前のAさんのご希望により、このマンションを2男のCさんに相続させる内容の遺言書(公正証書)を作成しました。
また、遺言書には付言として、マンション建築の際のローン(借入金)をご長男の子供さんに承継させたくないというAさんのご意向から、ご長男の子供さんには「速やかに相続を放棄してほしい」という内容のAさんのご希望を記載しました。
Aさんはこの遺言書を作成する際、遺言執行者として2男であるBさんを指定されました。その後、Aさんはお亡くなりになりました。
司法書士の提案、お手伝い
遺言執行者として指定された2男のBさんより、Aさん亡き後の相続手続について相談を受けました。
遺言執行者として、直ちにその任務を行う必要があること、その任務を開始した時は遅滞なく遺言の内容を相続人に通知する必要があること(民法1007条)、相続財産の目録を作成して相続人に交付する義務があること(民法1011条)等を説明しました。
Bさんとしては、これらの遺言執行の事務手続きについてのサポートを希望され、相続人が集まる法要の際に、司法書士からこの遺言書の内容を説明してほしい旨の依頼を受けました。
結果
民法の条文に従い、遺言執行者が作成すべき財産目録等を整えました。また、法要の際に遺言書を読み上げ、相続人の皆様にその内容を説明しました。ご長男の子供さん(3名)はAさんのご意向のとおり、相続権を放棄されたいということでしたので、相続放棄申述書を作成し、家庭裁判所に提出しました。
その後、不動産の相続登記、マンション建築の際のローン(借入金)の借り入れ名義人をCさんに変更する抵当権変更登記を行いました。
それ以外にも預貯金、株式等金融資産についての相続手続も皆様から委任を受けて代行しました。
また、平日はお仕事のため役所へ出向くことができないBさんにかわり、未受領年金の支給手続き等も当事務所が委任を受けて手続を行いました。
半年程度の時間が必要でしたが、Aさんの相続手続は無事完了しました。