状況
Tさんからの相談でした。父親が亡くなり、相続手続きをしていたところ、曾祖父名義の不動産が存在していました。
また、父親名義の不動産は存在していませんでしたが、父親名義の預貯金の解約が必要でしたが、相続権を承継しているTさんの妹さんはお亡くなりになっており、その子供さん(2名)に相続する権利が引き継がれていましたが、二人とも未成年(高校生)でした。
Tさんは曾祖父の家系図的なものを手書きで用意されておられましたが、戸籍謄本を請求して相続関係を特定するには至っていませんでした。また、相続する権利がある方が未成年である場合、遺産分割協議にあたり家庭裁判所で特別代理人の選任申し立てが必要ということはご存じであり、未成年の方のご親族に連絡をとられており、ご自分で家庭裁判所への提出書類を準備されておりました。
未成年者の特別代理人選任申立書を家庭裁判所に提出する際には、遺産分割協議書の案を添付する必要があります。その遺産分割協議の内容として、未成年者の法定相続分が確保されていることが要求されます。
Tさんはご自分で遺産分割協議書の案を作成されておりましたが、残念ながら未成年者の法定相続分は確保されておらず、この内容では特別代理人は選任されないと思われる内容でした。また、不動産についても未成年者に相続権はありますが、Tさんが作成された遺産分割協議書には不動産についての記載はありませんでした。
司法書士の提案、お手伝い
曾祖父の相続に関しての戸籍謄本の請求、相続権の確定はTさんには難しいと思われましたので、戸籍謄本を司法書士側で取得し、相続関係を確定し、相続関係説明図を編集することを提案しました。
また、未成年者の特別代理人選任申立書も司法書士側で作成し、未成年者のご親族に面談のうえ内容を説明したほうがよいことも説明しました。また、遺産分割協議書(案)の内容は未成年者の法定相続分が確保されている必要があることをお伝えしました。
ただし、不動産に関しては山間部の不動産であり、相続したと仮定しても管理費用の負担も必要となるため、不動産の相続に関しては代償金を不要とする上申書を作成する方法があることをご説明しました。
また、預貯金の解約に関しては、たくさんの戸籍謄本を金融機関で確認してもらうと時間もかかるため、法定相続情報証明の交付を受けることをご提案しました。
結果
曾祖父の方の戸籍謄本を請求し、相続関係を確定しました。結果として14名の方に相続権が承継されていました。
Tさんがご親戚を経由して相続人の皆様に連絡をとられ、押印の了解をいただきました。また、未成年の方についても無事に家庭裁判所で特別代理人を選任していただきました。
特別代理人の方、他の相続人の皆さん全員にご印鑑をいただき、相続登記、預貯金の解約手続は無事完了しました。